おさる漫談(5)

まさる(;^_^A

2012年07月04日 23:37

知らんがなってことありません。なんか魂にまで日の丸のハチマキ巻いたようなひとに、あなた違うんですて迫られるような。
僕、こないだあったんですよ。猿山でね。平日、雨降りの日でしたわ。ゴスロリみたいな傘差した茶髪のネエチャンと、イニシャルDから飛び出してきたようなサラサラヘアのアンちゃん。

まだね。お昼には早くて、いつも隣に居る飼育員のまさるはどっか行ってて。うちのおじいも早々檻に消えちゃってるから、人っこ・・・僕ら猿っこか。ま、いいですわ、居ない淋しい猿山やったんです。
せやかてこないだ僕、ボスになってもうたし、おじいもお前おらなお客さんどうする言うて気軽にいいよるから、しゃあないし、昼のバナナはどんなかな〜とか、しょもないこと思いながら毛繕いしたりして、ま、濡れながら座ってたんです。

何かね、その2人見て何やこんな日に動物園こいでもて、思いながら見てたんですわ。僕も見るものないからじっと、ヤンキーカップル。
ほしたらね。ネエチャンの唇動いてるんですよ。何いうてんのかなて、ざぁざぁ雨がうるさいけど聞き耳立てるとね。
「あれ次郎?」
て男に聴いてやがるの。
なんてメデタイやっちゃとここは日光ちゃうぞと、心のなかですよ、営業スマイルしながら見つめてたら、
「ほんまやなぁ」
てアンちゃんいいよるんです。テキトー言うてんのか、本気で思てるのか分からへんけど、ま、とりあえず営業スマイルでそのままじっとね。
「反省言うたらするやろかぁ」
「するやろー」
「ね、言ってよ」
「えー恥ずかしいがー」
聴いてんのもアホラシなって。ま、とりあえず毛繕いしながら、勿論営業スマイルで、さりげなく視線を隣のキツネザルの檻の方へ外してたら、いきなりですよ。
「あ、猿なめてんのか!」
「反省せいや!アホ!こら猿!猿は反省やろが!」
・・・何を反省せぇと。わしはおさるやけどこれでも平凡な日々をやね、暮らしてるわけですよ。どないしたろかなぁと思案してたら、
「おい猿!反省!ごめんなさいやろ!金はろてんど」も、むちゃくちゃや。アンちゃん絶対思ってないけど、彼女の手前引っ込みつかんなっとんよ。哀しいかな猿が110してもケーサツ来てくれん、治外法権やから。
「おら、お前返事せぇや!乗り込むぞ!」
猿に返事せぇと、も、むちゃくちゃや。ほれでもこっちも猿の意地あるやないですか。あくまで営業スマイルでソッポ向いたったんですよ。ほしたらどうしたか。
「猿は猿やのう!日本語分からんか!」
肩怒らせて彼女の手ぇ引いて向こう行きよった。せやけどな、雨音にかすかに乗って聞こえたネエチャンのオチが奮っとった。
「きっと太郎ってひと居ないからだよ」
・・・さよか、でしたわ。ホンマの話ですよ。ホンマこないだの話。

一言言うときます。
どんな猿も芸するわけやありません。芸みたいひとは日光へ。
ホンマお願いしますね。

さて、そろそろお昼の時間と相成りました。ご清聴ありがとうございました。お猿でした、おおきにほなっ。



※念のため、念のため言っておきますが、私、すべての動物園と無関係ですからね。単にまさるに引っ掻けておさるってキャラ作ってるだけなので。
勿論この話はすべてフィクションです。そんなアンちゃんネエチャンどっかで見たわけではありません。悪しからず。
・・・それにしても、キャラを一人歩きさせたらこんな漫談になるとは(苦笑)
本人が一番驚いています。

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