お「おさるです」
ま「まさるです」
お、ま「二人合わせておさるとまさるです、何か？」
お「最近さぁパイロットになりたいんだよね」
ま「急だなぁ、おさるの願いはなるべく叶えてやりてぇけど」
お「頼むよ、幼稚園の文集にも書いたんだよ」
ま「たいてい男の子はパイロットだけどよ」
お「ああ、夢叶えたんだってとこ見せたいじゃん」
ま「分かるけど、難しいぞ・・・パイロット」
お「そうかなぁ、空飛べばいいだけでしょ」
ま「ま、ま、飛べばいいんだけどさぁ」
お「お願い、おさるの一生の夢」
ま「お前にお願いされると弱いんだよなぁ」
お「頼むよこの通り」
ま「んじゃ、あんまり気は進まねえけどやってみっか。弱いからよぅ」
お「ありがとありがと、さすがまさる」
ま「いいっていいって」
お「それじゃ飛ぶぞ」
ま「いきなり過ぎない？あれだよ、まずお客乗せないと」
お「いいじゃんそういう周りのことは、とにかく飛ぼうよ」
ま「飛びたいんだ、とにかく」
お「行きます」
ま「いいよ、行って」
お「ぐんっ」
ま「・・・飛んだねえ、垂直だよ」
お「おかしい？」
ま「おかしいけど、まぁいいよ、弱いからさぁ」
お「ただいまから本機は動物園を離陸し」
ま「動物園から飛んじゃったんだ・・・」
お「おかしい？」
ま「いいよいいよ、飛んじゃおう」
お「どこ行けばいい？」
ま「それは最初に決めて欲しかったなぁ」
お「ダメ？」
ま「うーん」
お「ダメかぁ」
ま「いいよ、とりあえず行きながら探そう」
お「ありがとう」
ま「まぁね」
お「本機は間もなく安定飛行に移ります」
ま「いいね、成功だ」
お「そののち空中旋回及びアクロバット飛行を・・・」
ま「うわーっ、ダメ、みんな悪酔いするわ」
お「面白くない？」
ま「面白いけど・・・大丈夫？」
お「大丈夫、パイロットだから」
ま「分かったよ、回ろう、ひねろう、逆立ちしよう」
お「いつも悪いなぁ」
ま「おれはお前のこと好きだからさぁ」
お「よし、回るぞ、ひねっちゃえ、今度は逆立ち」
ま「ホントにやっちゃった」
お「あー楽しかった、も、いいや落ちよう」
ま「あーダメダメ、それダメ、事件だからさぁ」
お「ダメ？もうやりたいことやったし」
ま「おれはなるべくお前の希望は叶えてやりたいよ」
お「じゃいいじゃん、一生のお願い」
ま「お前に弱いからなぁ・・・」
お「・・・落ちちゃえ」
ま「ダメダメダメダメ、ニュースだよ」
お「人気者だぁ」
ま「いやぁ、ちょっとそれは違うなぁ」
お「どうしてもダメ？」
ま「そんな泣きそうな顔されるとホントに困るんだよなぁ」
お「おれもそんな顔されると悪いこと言ってる気がする」
ま「気がするじゃなくて言ってるんだよ」
お「そうかぁダメかぁ」
ま「おれもまだ死にたくないしよぅ」
お「じゃ降りよう」
ま「ごめんなぁ」
お「いいんだよ、俺もお前が好きだからさぁ」
ま「ところでこの角度は何？」
お「垂直に飛んだから垂直に降りようと」
ま「それって落ちてるって言うんじゃない」
お「そうなの？」

どかーん

お、ま「ありがとうございました〜」



おぎやはぎ風（自称）